はい、どうも~!
今回の記事は、前回の記事で紹介した「スイッチ! ”変われない”を変える方法」を実際に協力隊の活動現場でどのように実践したのか?という内容です。
Contents
「スイッチ! ”変われない”を変える方法」ってどんな本?
これに関しては、前回の記事に詳細を書いているので、覗いてみて欲しいのですが、一言でいうと、権力も資金もない人がどのように人の変化を促すのか?という方法論が書かれている本です。
JICA海外協力隊にはいろいろな職種がありますが、中でも私が選択したコミュニティ開発という職種は、ルーティーンの仕事があるわけでもなく、ひどい時には現地の方々に、JICAや協力隊の理解が得られていない(というか知られていない)まま、現地での活動を進めていかなければいけないということが多々あります。
JICA協力隊員は基本的に資金援助をする権限もありませんし、最初から人脈があるわけではありません。
そんな中ででも課題を見つけて、プロジェクトを推進し、現地の方々に何らかの変化を促していくことが求められています。
そこで、同じようなシチュエーションにいながら、本書で紹介されているフレームワークを実践しながら、目の前の現実を変えていく事例がたくさん載っているこの本は、JICA海外協力隊員にとって大変参考になることでしょう。
*コミュニティ開発について知りたい方はこちら
象使いに方向を示す

復習すると、象使い=理性に対しては、とびきり明確な指示を与えてやる!というアプローチが有効で、具体的には、”ゴール”と”最初の第一歩の行動”を指示してやることが大事でした。
これを現場でどのように使っていたかというと、会議の始めに毎回必ずプロジェクトの目的と各ステップをメンバーに言ってもらっていました。
いつも問題形式にして、この人答えられそうかな~というメンバーに言ってもらうようお願いします。そして、答えられないメンバーがいた場合は、私ではなくて答えられるメンバーに代わりに答えてもらうにしていました。
これは、最終的なゴールとそのために何をしなければいけないかという行動の指示を、毎回毎回繰り返し繰り返し確認することで、象使いに進むべき方向を示していたのです。
象にやる気を与える

象=本能ですね。特徴としては、長期的な報酬よりも短期的な報酬に目を奪われやすいというネガティブな面が目立つが、一方で豊かな感情、思いやりがある、でしたね。
変化のため実行に移すのは象であり、そのためには感情に訴えるというアプローチが有効でした。
これを実践した事例として、プロジェクト初期フェーズで、他国の成功事例を紹介しました。
私のプロジェクトを進める上で採用したSHEPアプローチは、アフリカ23か国で実施されていて、多くの農家の収入向上を成功させてきました。
そういった成功事例が紹介されている動画がYoutubeにアップされているので、それを見せたり、パンフレットを事あるごとに見せるようにしていました。
「同じアフリカ人農家が収入を向上させている、自分たちにもきっとできるんだ、自分たちもやってみせる!」と感情を芽生えさせるのです。
道筋を定める
これも復習しておくと、道筋を定めるというのは、環境を変えてあげると言い換えられて、アプローチとしては、”環境を整える”、”習慣を生み出す”、”仲間を集める”、でしたね。
全アプローチの事例があるので、一つずつ見ていきましょう。
環境を整える

このアプローチの事例としては、フォーマットの活用です。
私がSHEPアプローチを知ったきっかけはセネガルの先輩隊員のFacebookの投稿でした。興味を持ったので、直接コンタクトとってみると、セネガルで使用していたフォーマットを送付してくれました。また、JICA本部のSHEPアプローチ担当者がたまたま大学院の同期だったので、彼女にもいろいろなアドバイスや資料をもらいました。
いきなり「収入・支出を計算して利益を可視化してみてください」と依頼しても、簡単にできる農家さんはいません。
そこで、先ほどの先輩隊員やJICAの方にもらったフォーマットを活用して、このプロジェクトに取り組みやすい環境を整えたのです。
習慣を生み出す

これはわかりやく定例ミーティングの開催ですね。
複数のグループと活動していましたが、もともと定例ミーティングを開催していたグループにはプロジェクト用の時間を設けてもらい、定例ミーティングがなかったグループにはメンバーが集まりやすい時間帯に定例ミーティングを開催するようお願いしました。
定例にすることで、“このプロジェクトに取り組む”という習慣を生み出しています。
仲間を集める

最後の事例ですが、キーパーソンとの事前調整をしました。
私が一緒に活動したグループの場合、キーパーソンはグループのリーダーで(グループによってはリーダーじゃないこともある) 、次の会議のために彼といろいろ調整・確認しました。
例えば、上でフォーマットの活用を事例としてあげましたが、このフォーマットも元のフォーマットを、メンバーが書きやすいように、彼と事前調整をしてかなり追記・修正しました。
このように毎回次の会議が始まるまでの準備期間で、彼と何度も話し合いの場を設け、まず彼に私が次の会議でやりたいことを理解してもらい、会議がスムーズに行くように事前調整していました。
なぜこのキーパーソンという仲間を集めることが、変化しやすい環境を整えることにつながるかというと、行動は伝染するからです。
実際、プロジェクトを進めていく中で、彼に感化されて、もしくは彼に指導されて、他メンバーの理解度・モチベーションもどんどんあがっていきました。
まとめ
以上、私がJICA海外協力隊として活動していた農家グループとのプロジェクトにおいて、「スイッチ! ”変われない”を変える方法」をどのように活用し、実践していたか紹介してきました。
JICA海外協力隊だけでなく国際協力に関わる方、もっと言うと、人に変化を促すために日々努力している方々に、少しでも参考になるところがあれば、嬉しいです。
繰り返しますが、象使いに方向を示し、象にやる気を与え、環境を整えてあげることで、人に変化を促すことができます。
是非、皆様もそれぞれの立場・環境でこのフレームワークを少しでも採り入れてみて、世の中を少しでもポジティブな方向に持っていけるよう、ともに頑張りましょう!
では、また~
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綿貫大地
1983年生まれ。千葉県成田市出身。
大学在学中にザンビアで半年間ボランティアをするNGOのプログラムに参加。
埼玉大学経済学部卒業後、サセックス大学開発学研究所(IDS)で開発学修士号取得。
大手商用車メーカーにて3年半勤務したのち、大阪の化学メーカーに2年半勤務。
2017年10月から2019年9月まで西アフリカのベナンで、青年海外協力隊隊員として活動。
JICA SHEPプロジェクトを用い、野菜農家グループの収入向上に貢献。
2019年10月からベナンの飲食店経営に従事し、現在はベナンの農業関連会社の起業準備中。
”だれもが志を持って生ける世界の創造”というビジョンを胸に日々活動中。
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