はい、どうも~
西アフリカのベナンで、2017年から2019年まで、
JICA海外協力隊として活動していた、だいちです。
ここで初めてSHEPアプローチという言葉を知った方のために、
下記事をシェアしておきますね。
このアプローチは、全部で4ステップあるのですが、
第3ステップまでの実践の道のりを綴ったのがこれらの記事。
さて、ここからが本題ですが、今回の記事ではこのプロジェクトの結果をお伝えし、
さらにそこから広がった新たな動きも紹介したいと思ます。
Contents
SHEPアプローチを使ったプロジェクトの結果
タイトルにもあるように、結果どうだったのよ?ということです。
私はこの”結果”をとても意識していました。
というのも、プロジェクトを始めたはいいが、それが最終的に
現地にどのようなインパクトを与えたのか、よくわからずに(検証せずに)
帰国してしまう協力隊員がとても多い。
検証・振り返り・評価、いろいろな言い方があるかもしれませんが、
このプロセスを踏まえずに2年間終えるのはとてももったいないと思いますし、
第3者から見て”やりっぱなし”と思われる可能性もあります。
今後の協力隊員は是非、ここを意識してほしいです。
前置きが長くなりましたが、まずは結果から発表します!
グループ全体で年間の利益130%上昇(メンバー平均約60,000CFA)を達成しました!!!

分析すると、1番大きな要因は、
第1ステップで判明した作物ごとの収支と
市場のニーズで求められている情報を元に、
それぞれのメンバーが栽培作物を変更したことですね。
例えば、これはあるメンバーのプロジェクト前の各作物の収支計算です。

プロジェクト実施後に選定した作物がこちら。

利益が少なかった作物を止めて、市場でニーズがあるとわかった作物を新たに始めています。
要因は他にもあって、下記は第2ステップの市場調査によって、得られた彼らの学びですが、
- 新規顧客を開拓できた
- 供給がかなり不足していることが分かった(特に乾季)
- 季節ごとにこんなに価格のばらつきがあると思わなかった
- 今までは既定の袋に入れて出荷していたが、少量の場合キロ単位でも販売可能だと知った
- 多少状態が悪い作物は、その部分だけを取り除けば、売れることが分かった
- 一部の作物が輸送中に損傷していて、安い価格で買い取られていた。今後は緩衝材を使用する。
少量だけでも出荷したり、輸送中に損傷していた作物には緩衝材をつけたり、
市場調査によってシンプルに売り先が増えたので、
一番高値で買ってくれるところに出荷するようにしたり。
こういった小さな打ち手すべてが、利益向上につながったと思います。
また、数字に表れない効果として。
SHEPアプローチの大目的である、”作ってから売るのではなく、売るために作る”
という意識改革に成功したことも今後の彼らの農業経営に大きな影響を及ぼすと思います。
プロジェクト後の動き
彼らとのプロジェクトはいったん終了しましたが、その後に以下のような動きがありました。
合同報告会で発表
毎年ベナンの外務省でJICAの活動を発表する報告会を実施しています。
ベナンの外務大臣や駐ベナン日本大使、JICA関係者、
さらに協力隊員の全カウンターパートが、出席するイベントです。
私は農業系の隊員を代表して、このSHEPアプローチのプロジェクトを発表しました。

ここでの反響はとても大きく、他隊員のカウンターパートから、
是非うちの任地でもこのプロジェクトを実施したいとの声をいただきました。
SHEPアプローチ研修を主催

後日それを現実化させ、任地に農業隊員とカウンターパートを招待して、研修を行いました。
座学でSHEPアプローチの概要や経験談を共有した後、
実際に市場調査を彼らにも体験してもらいました。
その時のアドバイザー役となってくれたのが、
私と一緒にプロジェクトを実施したグループのメンバーです。

一部のメンバーは完全にSHEPアプローチを理解し、指導できるレベルに達しています。
その中でも、一番頭が切れるのが、やっぱりリーダー。
上の研修とは別に、彼が中心となって、任地周辺の野菜農家グループに対して、
SHEPアプローチの研修会を開催しました。

この頃になると、私はほぼ見ているだけ。
冒頭であいさつしたり、時折アドバイスなどはしましたが、
彼ら中心となって研修会を企画し運営していました。
プロジェクトを終えて思ったこと
私はこのSHEPアプローチの研修をきちんと受けたことがなく、
ほぼ全てネットに出ている情報を頼りにプロジェクトを推進してきました。
このプロジェクトを推進する上で、もちろん私がSHEPアプローチを
1番理解していないといけないので、インプットを続けながら
トライ&エラーを繰り返しながら進めてきました。
利益向上という結果を出すことができたのは、
私がすごいから、では全くなくて、野菜農家メンバーの努力の結晶です。
私がやったのは、本当に簡単なこと。
利益向上という最終ゴールをみんなに示して、
そのためのステップである収支計算の方法を教えて、市場調査のアドバイスを行っただけ。
ただ、本当にこんな些細なことでも、彼らの利益は向上し、彼らの意識は変わりました。
本当にちょっとしたことで、目の前の現実は変えられる。
私が今回学んだことはとても大きいし、この学びを次の事業でもそれを活かしていこうと思います。
現在日本で、ベナンに戻ってからの農業系ビジネス立ち上げの準備を進めていますが、
そのお話はまた別の記事でお伝えしたいと思います。
では、また~
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綿貫大地
1983年生まれ。千葉県成田市出身。
大学在学中にザンビアで半年間ボランティアをするNGOのプログラムに参加。
埼玉大学経済学部卒業後、サセックス大学開発学研究所(IDS)で開発学修士号取得。
大手商用車メーカーにて3年半勤務したのち、大阪の化学メーカーに2年半勤務。
2017年10月から2019年9月まで西アフリカのベナンで、青年海外協力隊隊員として活動。
JICA SHEPプロジェクトを用い、野菜農家グループの収入向上に貢献。
2019年10月からベナンの飲食店経営に従事し、現在はベナンの農業関連会社の起業準備中。
”だれもが志を持って生ける世界の創造”というビジョンを胸に日々活動中。
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