しばらく活動報告をしていませんでしたが、久しぶりに活動について綴ります。
障がい者グループについて
いつもの通っている屋台のおばちゃんに、家に来いと誘われ、そこで障がい者グループのリーダーと出会ったことでこのグループとの交流が始まりました。
活動年酢:22年
所属人数:22人
活動目的:メンバーの収入向上 (またグループ化することで公的な支援を受けやすくなるそうです)
定例会議:毎月第1水曜日
私が調査したところでは、国や市からの金銭的支援は全くなし。よって手当や割引もなし。上記の公的な支援も1年に1回あるかないか。
これがベナンでの障がい者支援の実態です。福祉センターと呼ばれるところがあるにはありますが、松葉杖などの器具を提供してくれることもある、といった程度の支援しかしていないそうです。
とにかく1度おれたちの活動を見てきてほしいと言われ、次の日にさっそく見に行きました。現場に行くと、ウサギ養殖と養鶏用の建物がありました。ゲージもありましたが、中身は空っぽ。
リーダーの話によると、建物もできて、ウサギ購入!というタイミングでエボラ出血熱が流行し、何らかの原因でサポートがストップしてしまったそう。何年間もこの状態が続いているということです。

ウサギさんのゲージ

ウサギさんを吊るすところ
活動報告
市長直談判編
見学を一通り終え、リーダーとお話し。とにかく財政的なサポートが欲しいとのこと。。簡単に言えばお金くれ、というわけです。隊員なら1度はあったことがある”あなたたちお金あるんでしょ?とりあえずお金くれます??”的なプレッシャーをかけられる。
今の自分は、うまく交わせる言語能力も不足しているし、お金の代わりにこれこれのスキルをお伝えすることができます、とも言えないスキル不足、両方で無力感を味わいます。
しかし、コミュニティ開発隊員として求められる力の一つである人と人とを繋げるコーディネーション能力を発揮して、市長に直談判しようと決めます。いわゆる”よそ者”だからこそできることですね。
*”よそ者”パワーに興味がある方は下記書籍(開発援助の社会学 (SEKAISHISO SEMINAR))をおススメします
案の定(?)、約束を忘れられたり、車が急に故障したとかでドタキャンされたりしましたが、3回目のアポで何とか市長と面談できることに。実は、このグループは昨年10月にサポート要請の嘆願書を提出済みでした。よって、あの嘆願書の進捗教えてくださいという切り口で臨みました。

市長とリーダーで3者面談
市長からは、そんな書類見たことない、今度現場を見に行くから、ということで終わりました。
しかし、これ以降は市長と話しても担当者と話してほしいと言われ、担当者には他の書類を提出するよう求められ、次の日にすぐに提出しましたが、そこから電話してもまた今度、また今度と先延ばしにされる状況が続いています。
マイクロファイナンス編
でも私は全く動じませんでしたw こんなもんだろうなーというかんじで。”常に同時進行で動け!”サラリーマン時代、上司に何度も言われたことです。市役所の巻き込みを狙っていると同時にマイクロファイナンスへもアプローチしていました。
マイクロファイナンス(小規模金融) とは、貧しい人々に小口の融資や貯蓄などのサービスを提供し、彼らが零細事業の運営に役立て、自立し、貧困から脱出することを目指す金融サービス
ベナンはマイクロファイナンスがかなり浸透していて、100社以上の民間企業が参入していて、マイクロファイナンス省まであります。
私が住んでいる町にも3社あり、その中の1社はもうすでにトライ済みということで、残りの2社に行ってみることに。1社はディレクターとの面談の上、養殖は結果が出るまでに時間がかかるという理由で断られてしまいました。
しかし、最後の1社のディレクターは面談終了後すぐに現場に来てくれました。やっぱり民間は早い!w

ディレクター訪問
*ウサギが一羽もいないと見栄えが悪いということで、リーダーの家からわざわざ持ってきたw
再面談の結果、グループが希望していた10万円は難しいが、2万円であれば貸してくれるとのこと。手続きはその後も迅速に進み、3週間後にはお金を借りることができました。何度も何度も足を運んだことが功を奏したのか、予想より早く借りることができました。

マイクロファイナンスの前にて
お金を借りる前に私がこのグループに提案したのが、収支計画書の作成。
当然だがマイクロファイナンスへのお金を返さなければならない、いつどのくらい返す必要があって、そしたら手元にはこれだけお金が残る、それを可視化する必要がある。リーダーと副リーダーに根気強く説明しました。
そうしたらこの通り、手書きですが、私たちで設定した期限までに副リーダーが率先して作ってくれました。この時はうれしかったな~。



そしてめでたくウサギと餌を購入。その他サプリや薬なども購入してました。建物で飼育するとガードマンが必要となり、予算をオーバーしてしまうので、各メンバーの家で飼育することになりました。(この飼育メンバー決めも少し大変でしたw)

今後の方向性
今後は下記のように進めていこうと考えています。
・進捗管理のために飼育メンバー宅を全員で訪問
これは、みんながいい見本から学習してもらう目的とみんなが見に来るからちゃんとしなきゃという危機感を持ってもらう、2つの目的から
・収支計画書通りのお金の管理を確認
収支計画書通りにお金が回っているかどうか、全員で確認。返済期限を必ず守るために注視するよう促します
・農業開発所のスタッフに定期的に訪問してもらう
私の所属先の農業開発所の母体である農業省の正式名称は農業・畜産・漁業省。よって、農業開発所にも畜産の専門家がいます。一度訪問してもらいアドバイスをもらいましたが、定期的に訪問してもらい、ここのパイプも太くしていこうと思います
・ウサギを売った資金を元手に、ヤギと鶏の養殖も開始する
今回のウサギ養殖だけでは、本来の目的であるメンバーの収入向上にはつながりません。ウサギ養殖の経験を糧にして、養殖業を拡大し、収入向上につなげます
ざーっと書きましたが、ここまでで約2か月かかりました。
この活動は、最初からゴールが設定されていたため順調に進んでいるように見えますが、それでも本当にこの行動が彼らのためになるのかと自問自答しながら進めています。
『本当に彼らのためになるか』、これってほんとにわからない。正直、考えすぎて訳が分からなくなる時もあります。
だからこそ、信念をもって将来を見据え、その時その時ベストだと思う行動を一つずつしていくしかないと思っています。
下の写真は会議のあと。最初は”よそ者”だったけど、徐々に”仲間・同志”になっていくこの感じ、好きだな~。

以上で~す☆
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綿貫大地
1983年生まれ。千葉県成田市出身。
大学在学中にザンビアで半年間ボランティアをするNGOのプログラムに参加。
埼玉大学経済学部卒業後、サセックス大学開発学研究所(IDS)で開発学修士号取得。
大手商用車メーカーにて3年半勤務したのち、大阪の化学メーカーに2年半勤務。
2017年10月から2019年9月まで西アフリカのベナンで、青年海外協力隊隊員として活動。
JICA SHEPプロジェクトを用い、野菜農家グループの収入向上に貢献。
2019年10月からベナンの飲食店経営に従事し、現在はベナンの農業関連会社の起業準備中。
”だれもが志を持って生ける世界の創造”というビジョンを胸に日々活動中。
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